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「急に背中が痛くなった」「くしゃみで背中がズキッと痛む」と感じていませんか?

「年だから仕方ない」とあきらめないでください。背骨の骨折は、きちんと治療すれば良くなります

脊椎圧迫骨折は、骨粗鬆症で弱くなった背骨が、軽い衝撃(くしゃみ・尻もち・重い物を持つなど)で押しつぶされるように折れる骨折です。高齢者、特に閉経後の女性に多く、日本では年間約100万件発生するとされています。多くはコルセットと安静で治癒しますが、骨がつかない場合(偽関節)にはBKP(バルーン椎体形成術)や固定術が有効です。当院では、脊椎外科専門医が早期診断から保存療法・低侵襲手術まで一貫して対応しています。

こんなお悩みありませんか?

一つでも当てはまったら、このページが役に立ちます。

  • 寝返りをうつとき、背中に激痛が走る。夜中に目が覚めてしまう。
  • 朝、起き上がることができない。痛くてベッドから出るのに時間がかかる。
  • 最近、背が縮んだと言われた。服のサイズが合わなくなった。
  • くしゃみや咳をすると背中がズキッと痛む。深呼吸もつらい。
  • ある日突然、背中が痛くなって動けなくなった。きっかけがわからない。
  • 背中が丸くなってきた気がする。まっすぐ立てない。

これらの症状は、背骨の骨折(圧迫骨折)が原因かもしれません。骨折と聞くと怖く感じますが、適切な治療で多くの方が楽になっています。まずは「どんな病気なのか」を知ることから始めましょう。

この病気って何?

ひとことで言うと、「背骨を構成する骨のひとつが、つぶれてしまう骨折」です。

背骨は、24個の小さな骨(椎体)が積み木のように積み重なってできています。この積み木のひとつがつぶれてしまうのが、圧迫骨折です。特に多いのが、骨粗鬆症(骨がスカスカになる病気)のある方です。骨がもろくなっているため、ほんの少しの力で骨がつぶれてしまいます。70歳以上の女性の約3人に1人が経験するほど、とても多い骨折です。「年だから仕方ない」ではなく、しっかり治療できる病気です。

図解|正常な背骨とつぶれた背骨

正常な背骨:積み木がきれいに積まれている
圧迫骨折:積み木のひとつがつぶれている
背骨は24個の骨(椎体)が積み木のように重なっています。骨粗鬆症で骨がもろくなると、積み木のひとつがつぶれてしまいます。これが圧迫骨折です。

骨粗鬆症との関連

骨粗鬆症は、骨の中のカルシウムが減って骨がスカスカになる病気です。特に閉経後の女性は女性ホルモン(エストロゲン)の減少により急速に骨密度が低下します。骨粗鬆症がある方の椎体は、内部がスポンジのようにスカスカになっており、体の重みや軽い衝撃でもつぶれてしまいます。骨密度が若年成人平均値(YAM値)の70%未満になると、骨折リスクが大きく上がります。

なぜ起こるの?

骨粗鬆症で骨がもろくなっていると、ほんの小さな力で骨がつぶれてしまいます。くしゃみをしただけ、布団を持ち上げただけ、尻もちをついただけ。日常の何気ない動作が原因になることがあります。さらに驚くことに、はっきりしたきっかけがないのに骨折していることもあります。これを「いつのまにか骨折」と呼びます。

図解|骨折のきっかけ

圧迫骨折のきっかけ:くしゃみ、尻もち、荷物を持つ
骨粗鬆症で骨がもろくなっていると、日常のちょっとした動作が骨折のきっかけになります。「きっかけがわからない」場合も少なくありません。

はっきりした原因がないのに、知らないうちに骨折が起きていることがあります。「なんとなく背中が痛い」「背が縮んだ気がする」という症状だけで、ご本人が骨折に気づいていないケースも多いです。レントゲンを撮って初めて「実は骨折していた」とわかることも珍しくありません。

どんな症状が出るの?

圧迫骨折の症状は、骨折した直後の症状と、時間がたってからの症状の2つに分けられます。

骨折直後:急な激痛

「ぎっくり腰のような激しい痛み」が突然起こります。寝返りをうつだけで痛い、起き上がれない、動くと痛いが横になっていると楽、というのが特徴です。痛みの場所は、多くの場合背中の真ん中あたりから腰のあたりです。

時間がたつと:鈍い痛み・背中の変形

急な痛みが落ち着いたあとも、鈍い痛みやだるさが続くことがあります。つぶれた骨がそのまま固まると、背中が丸くなったり身長が低くなったりします。

要注意:骨がくっつかない(偽関節)

なかにはつぶれた骨がいつまでもくっつかないケースがあります。これを「偽関節(ぎかんせつ)」と呼びます。骨がグラグラした状態が続くため、いつまでも痛みが取れません。この場合は、手術での治療が必要になることがあります。

放っておくとどうなるの?

圧迫骨折を放っておくと、さらなる骨折の連鎖背中の変形が起こるリスクがあります。早い段階で治療することが、とても大切です。

1. 偽関節(骨がくっつかない)

骨折したまま放っておくと、骨がくっつかずにグラグラした状態が続きます。動くたびに痛み、寝たきりの原因にもなります。

2. 連鎖骨折(ドミノ骨折)

ひとつの骨がつぶれると、隣の骨にかかる負担が増えます。すると隣の骨もつぶれやすくなり、ドミノのように次々と骨折が連鎖します。1か所の骨折で再骨折リスクが約5倍に上がるという報告があります。

3. 背中の変形(後弯変形)

複数の骨がつぶれると、背中が大きく丸くなります。前を向いて歩くのが難しくなったり、内臓が圧迫されて食欲が落ちたりします。転倒のリスクも高まり、生活の質が大きく下がります

図解|ドミノ骨折の仕組み

ドミノ骨折:1個つぶれると隣もつぶれやすくなる連鎖
1か所骨折すると、隣の骨への負担が増え、次々と骨折が連鎖(ドミノ骨折)するリスクがあります。最初の1か所をしっかり治すことが、連鎖を止める最も重要なポイントです。

かんたんセルフチェック

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※ これは簡易的なチェックです。正確な診断には専門医の診察が必要です。

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病院ではどんな検査をするの?

「病院に行ったら何をされるんだろう?」と不安に思われる方も多いと思います。検査の流れをあらかじめ知っておくと、安心して受診できます。

Step 1:レントゲン撮影

まずは立った状態でレントゲンを撮ります。つぶれた骨があるかどうか、背骨の並びに問題がないかを確認します。数分で終わる検査で、痛みはありません。

Step 2:MRI検査

レントゲンだけではわからない新しい骨折かどうかを調べます。MRIは骨の中の状態を詳しく映し出すことができるので、骨折が新しいか古いかを区別できます。横になって20〜30分ほどの検査です。

Step 3:CT検査・骨密度検査

必要に応じてCTで骨の立体的な構造を確認します。また、骨密度検査で骨の強さを数値で調べます。骨粗鬆症の程度がわかり、今後の治療計画に役立ちます。検査結果をもとに、あなたの骨折の状態に合った治療法をご提案します。

どうやって治すの?

「すぐに手術」ではありません。多くの圧迫骨折は、安静とコルセットで治ります。痛みが続く場合に、次のステップを検討します。

安静 + コルセット(多くの方はこれで治ります)

骨折した骨が自然にくっつくまで、コルセットで背骨を支えて安定させます。期間は2〜3ヶ月が目安です。この間、お薬で痛みを和らげながら、少しずつ動く範囲を広げていきます。骨粗鬆症のお薬も同時に始め、骨を強くする治療も行います。安静にしすぎると筋力が落ちてしまうので、無理のない範囲で体を動かすことも大切です。

図解|コルセット(装具)のイメージ

コルセットで背骨を支えるイメージ
コルセットは、骨折した背骨を外側からしっかり支えて安定させます。骨がくっつくまでの2〜3ヶ月間、日常生活の中で装着します。

BKP(経皮的椎体形成術)/ 骨セメント治療(痛みが長引く場合)

安静+コルセットでも痛みが続く場合に検討します。つぶれた骨の中に小さな風船を入れてふくらませ、つぶれた骨をできるだけ元の形に戻します。その後、骨セメントを注入して骨を固めます。傷口は1cm程度で、手術時間も30分〜1時間程度です。翌日から歩ける方が多く、入院も数日程度で済むことが多いです。80代・90代の方でも受けられることが多い、体への負担が小さい治療法です。

図解|BKP(骨セメント治療)の手順

BKP手術の手順:風船を入れて膨らませ、骨セメントを注入
BKP(経皮的椎体形成術)は、小さな風船でつぶれた骨を持ち上げ、骨セメントで固める治療です。傷口が小さく、体への負担が少ないのが大きな特徴です。

脊椎固定術(偽関節・変形がある場合)

骨がくっつかず「偽関節」になっている場合や、骨折により背骨が大きく変形している場合は、スクリューとロッド(金属の棒)で背骨を固定する手術を行います。グラグラしている骨をしっかり固定することで、痛みを取り除き、背骨の安定を取り戻します。変形が大きい場合は、背骨の角度を矯正することもできます。

圧迫骨折は治療法がたくさんある病気です。安静とコルセットで治る方が大半ですし、痛みが続く場合もBKPのような体に優しい治療があります。お一人おひとりの状態に合わせて、最適な治療をご提案します。

最新の技術

圧迫骨折の治療も、日々進歩しています。より安全に、確実に、体への負担を少なく治療できるようになっています。

骨を強くする新しいお薬

骨粗鬆症の治療薬は年々進歩しています。骨が壊れるのを防ぐ薬に加え、骨を新しく作る力を高める薬(テリパラチドやロモソズマブなど)が登場しました。骨折のリスクを大幅に減らすことができます。ロモソズマブ(スクレロスチン阻害薬)は椎体骨折リスクを73%低減したという報告があります(FRAME試験)。

ナビゲーション技術

手術中にリアルタイムで画像を確認しながら正確にスクリューを入れることができます。ずれのリスクが大幅に減り、手術の安全性が向上しています。

術後早期回復プログラム

手術後すぐに専門のリハビリスタッフが付き添い、安全に体を動かす練習を始めます。早くから動くことで、筋力低下を防ぎ、入院期間を短縮できます。

多職種チームによるサポート

医師・看護師・理学療法士・薬剤師・栄養士が連携して、骨折の再発を防ぐための総合的なケアを行います。運動指導、栄養改善、お薬の管理、住環境のアドバイスなど、退院後の生活もサポートします。骨折リエゾンサービス(FLS)を導入した施設では再骨折率が約40%低下するという報告もあります。

よくあるご質問

Q 圧迫骨折は治りますか?
はい、多くの圧迫骨折は治ります。安静にしてコルセットで骨を支えていれば、2〜3ヶ月で骨がくっつく方がほとんどです。痛みが長引く場合は、BKP(骨セメント治療)で改善が期待できます。「治らない骨折」ではありませんので、安心してください。
Q 骨折しているのに気づかないことがありますか?
はい、よくあることです。「いつのまにか骨折」と呼ばれるように、はっきりした痛みがないまま骨折が進行していることがあります。「背が縮んだ」「背中が丸くなった」と感じたら、一度レントゲンで確認されることをおすすめします。
Q 手術は必ず必要ですか?
いいえ、多くの場合は手術なしで治ります。安静とコルセットで骨がくっつく方が大半です。手術を検討するのは、痛みが2〜3ヶ月以上続く場合、骨がくっつかない(偽関節)場合、または背骨が大きく変形している場合に限られます。
Q 高齢でもBKP手術を受けられますか?
はい、BKPは体への負担が非常に小さい治療です。傷口は約1cm、手術時間も30分〜1時間程度です。80代・90代の方でも受けられることが多く、翌日から歩ける方がほとんどです。年齢だけで判断するのではなく、全身状態を総合的に評価してご相談します。
Q 圧迫骨折はまた起こりますか?
骨粗鬆症が原因の場合、治療をしないと再発のリスクがあります。1か所骨折すると、次の骨折のリスクは約5倍に上がるという報告があります。骨を強くするお薬を続けること、転倒を予防すること、定期的に骨密度検査を受けることが、再発予防にとても大切です。
Q コルセットはどのくらいの期間つけますか?
一般的には2〜3ヶ月間が目安です。レントゲンで骨のくっつき具合を確認しながら、外す時期を決めていきます。最初は入浴時以外はつけていただきますが、骨がくっつくにつれて少しずつ外す時間を増やしていきます。
Q BKP手術の入院期間はどのくらいですか?
数日〜1週間程度の入院が一般的です。手術翌日から歩行を開始し、痛みの改善と歩行状態を確認してから退院となります。退院後はコルセットを装着しながら通常の生活に戻っていただけます。
Q 骨粗鬆症があると言われました。骨折を予防できますか?
はい、予防はとても大切です。骨を強くするお薬を飲み続けること、カルシウムとビタミンDをしっかり摂ること、適度な運動で筋力を保つことが効果的です。また、家の中の段差をなくしたり、手すりをつけたりして転倒を防ぐ工夫も重要です。定期的な骨密度検査で骨の状態を確認しましょう。

まずはご相談ください

「年のせいだから仕方ない」とあきらめる必要はありません。原因がわかれば、楽になる方法が見つかるかもしれません。当院は全78床が脊椎専門、外来医師全員が脊椎専門医です。まずはお気軽にご相談ください。

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参考文献・エビデンス

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