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首から腕にかけてしびれる・手に力が入りにくいと感じていませんか?

デスクワークやスマホの使いすぎが原因かもしれません。しびれや痛みの原因を正しく理解することで、症状を和らげる適切な治療選択肢が見つかります。

頸椎椎間板ヘルニアとは、首の背骨の間にあるクッション(椎間板)が飛び出して神経を圧迫し、首から腕・手にかけての痛みやしびれ、握力の低下などを引き起こす病気です。約80〜85%の方が保存療法(薬物療法・リハビリ・装具療法)で改善し、飛び出した部分が自然に縮小することもあります。保存療法で改善しない場合は、前方除圧固定術(ACDF)人工椎間板置換術などの手術が検討されます。当院では、人工椎間板を含む新しい治療法を提供しています。

こんなお悩みありませんか?

一つでも当てはまったら、このページが役に立ちます。

  • 腕から手先にかけて、ジンジンとしびれる感じがある。特に朝起きたときにひどい。
  • スマホやパソコンを使っていると、首から肩にかけて痛みが走る
  • お箸がうまく使えない、字が書きにくい、シャツのボタンがとめにくいなど、手先の細かい動作がしにくくなった。
  • 肩甲骨のあたりが痛む。マッサージに行っても良くならない。
  • 首を後ろに反らすと、腕にビリッと電気が走るような感覚がある。
  • 歩くときに足がもつれる・ふらつく、階段の上り下りで手すりが必要になった。

これらの症状には原因があり、適切な治療によって改善を目指すことができます。まずは「どんな病気なのか」を知ることから始めましょう。

この病気って何?

ひとことで言うと、「首の骨と骨のあいだにあるクッションの中身が飛び出して、神経を押してしまう病気」です。

首には7つの骨が縦に積み重なっています。骨と骨のあいだにはクッション(椎間板)があり、衝撃を吸収しています。このクッションは、外側の硬い皮(線維輪)と、中のゼリー状のあんこ(髄核)でできています。ちょうどおまんじゅうのような構造です。

ヘルニアとは ― おまんじゅうの皮が破れる

おまんじゅうの皮(線維輪)に亀裂が入ると、中のみずみずしいあんこ(髄核)がその亀裂を通じて神経の通り道に飛び出してしまいます。これが「ヘルニア」です。ヘルニアとは、ラテン語で「飛び出す」という意味です。あんこ(髄核)は水分をたっぷり含んでいるほど弾力があり、皮が破れたときに外に押し出される力が強くなります。そのため30〜50代の世代に多いのが特徴です。

変性とは ― おまんじゅうが干からびる(ヘルニアとは別の現象)

年齢を重ねると、おまんじゅうのあんこが水分を失って干からび、皮も硬くだれてきます。変性が進むとあんこはパサパサに固くなるため、むしろ飛び出す力がなくなります。その代わり、クッションが潰れたことで骨に余計な負担がかかり、骨のとげ(骨棘)ができるなど、ヘルニアとは別のかたちで神経を圧迫することがあります。

図解|首の骨(頸椎)のしくみ

頸椎7個の構造と椎間板の位置
首は7個の骨がクッション(椎間板)を挟んで積み重なっています。C5/C6、C6/C7の間でヘルニアが起きやすく、30〜50代のデスクワーカーに多い病気です。

図解|ヘルニアの仕組み

正常な椎間板:クッションが収まっている状態
ヘルニア:クッションの中身が飛び出して神経を圧迫
クッション(椎間板)の中のゼリー状の芯(髄核)が、殻を破って飛び出し、すぐ後ろにある神経を押してしまうのがヘルニアです。

腰のヘルニアとは何が違うの?

「ヘルニア」と聞くと腰のヘルニア(腰椎椎間板ヘルニア)を思い浮かべる方が多いですが、首にも同じことが起きます。大きな違いは、首の場合は「脊髄」という太い神経の束のすぐそばで起きることです。腰の部分には脊髄は存在しません。そのため、首のヘルニアは重症化すると腕だけでなく、足のしびれや歩行障害など、全身に影響が出ることがあります。

図解|首ヘルニアと腰ヘルニアの違い

頸椎ヘルニア:首から腕に症状が出る
VS
腰椎ヘルニア:腰から足に症状が出る
首のヘルニアは腕・手に、腰のヘルニアはに症状が出ます。首は脊髄のすぐそばなので、重症化すると全身に影響することがあります。

医学的な分類

飛び出し方によって、膨隆型(Bulging):椎間板全体がふくらんで広がる、突出型(Protrusion):椎間板の一部が部分的に突出する(最もよく見られるタイプ)、脱出型(Extrusion):髄核が線維輪を完全に破って飛び出す、遊離型(Sequestration):飛び出した髄核がちぎれて分離する——の4つに分類されます。好発部位はC5/6(約40%)、C6/7(約35%)で、この2か所で全体の約75%を占めます。30〜50代に多く、男性にやや多い傾向があります。

なぜ起こるの?

原因は大きく分けて4つあります。

1. デスクワーク(長時間の前かがみ姿勢):パソコン作業で前かがみになると、首のクッションにかかる圧力は通常の1.5〜2倍程度になります。毎日何時間もこの姿勢を続けると、クッションの殻にヒビが入りやすくなります。

2. スマートフォンの使いすぎ(スマホ首):スマホを見るとき、頭は約15度前に傾きます。すると首には約12kgもの負荷がかかります。ボウリングの球を首で支えているようなものです。Hansraj(2014)の研究では、30度で約18kg、45度で約22kg、60度で約27kgに負荷が増加することが示されています。

3. 加齢による変化:30代を過ぎると、クッションの水分が少しずつ減っていきます。すると弾力が失われ、衝撃を吸収しにくくなります。

4. 外傷(ケガ):交通事故のむちうちや、スポーツでの衝撃により、クッションが傷つくことがあります。

1日8時間以上のデスクワーク、1日3時間以上のスマートフォン使用、喫煙習慣のある方は、頸椎椎間板ヘルニアのリスクが高いことがわかっています。心当たりのある方は、日頃から首のケアを心がけましょう。

どんな症状が出るの?

頸椎椎間板ヘルニアの特徴的な症状は「どの指がしびれるか」でヘルニアの場所がわかることです。首から出る神経はそれぞれ担当エリアが決まっているからです。

図解|しびれのパターンマップ

手のしびれパターン:C5は親指側、C6は中指、C7は人差し指・中指、C8は小指側
どの指がしびれるかを医師に伝えると、診断の大きな手がかりになります。

首・肩の痛み

首を動かしたときに痛みが走ります。特に首を後ろに反らしたり、横に倒したりすると痛みが増すのが特徴です。肩こりと間違われることも多いです。

腕・手のしびれ

腕から指先にかけて、ジンジン・ビリビリとしたしびれが出ます。特定の指にしびれが出ることが多く、これがヘルニアの場所を示すサインになります。

肩甲骨まわりの痛み

肩甲骨の内側(背中側)に痛みが出ることがあります。マッサージや湿布では良くならず、首の神経が原因と気づかないことも多いです。

手の力が入りにくい(筋力低下)

お箸がうまく使えない、字が書きにくい、ボタンがとめにくいなど、手先の細かい動作(巧緻運動)がしにくくなります。この症状が出たら早めの受診をおすすめします。

神経根症と脊髄症の違い

神経根症(しんけいこんしょう):ヘルニアが横に出て「枝」の神経(神経根)を圧迫するタイプ。片側の腕にしびれや痛みが出ます。約80%の方が保存療法で改善します。

脊髄症(せきずいしょう):ヘルニアが中央に出て「幹」の神経(脊髄)を圧迫するタイプ。両手のしびれ、箸が使いにくい、歩きにくいなどの症状が出ます。進行性のため、早めの手術を検討することがあります。典型的な症状には、手指の巧緻運動障害(ボタン掛け困難、箸が使いにくい)、10秒テストの異常(10秒間でグーパーが20回できない)、歩行時のふらつきなどがあります。

両手がしびれる、ボタンがとめられない、歩くときにふらつく、排尿しにくい——これらは脊髄が圧迫されているサインです。放置すると回復が難しくなることがあります。できるだけ早く脊椎専門の医療機関を受診してください。

放っておくとどうなるの?

軽い症状のうちは自然に良くなることもありますが、放置して悪化すると、治りにくくなることがあります。

初期:「首が痛い」「肩がこる」

首や肩のこり・痛みが主な症状です。この段階では「ただの肩こり」と思い込む方がほとんどです。整体やマッサージに通い続ける方も多いです。

進行:「腕がしびれる」「指に力が入らない」

神経が圧迫されて、腕や手にしびれ・痛みが広がります。特定の指がしびれたり、握力が落ちたりします。この段階で受診する方が多いです。

重度:「歩きにくい」「箸が持てない」

脊髄が圧迫されると、両手のしびれ、歩行のふらつき、排尿障害など全身に症状が広がります。この段階まで進むと手術が必要になることが多く、回復にも時間がかかります。

かんたんセルフチェック

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病院ではどんな検査をするの?

「病院に行ったら何をされるんだろう?」と不安に思われる方も多いと思います。検査の流れをあらかじめ知っておくと、安心して受診できます。

Step 1:お話を聞かせてください(問診・身体検査)

「どの指がしびれますか?」「いつからですか?」などをお聞きします。首を動かしてしびれの出方を確認したり(スパーリングテスト)、腕の感覚・筋力・反射を調べます。これだけで、ヘルニアの場所をかなり絞り込めます。スパーリングテストは首を痛い側に倒して頭の上から軽く押す検査で、感度(見つける確率)は約50%ですが、特異度(間違わない確率)は約90%と非常に信頼性の高い検査です。

Step 2:写真を撮ります(画像検査)

レントゲン:骨の並びや隙間の狭さを確認します。MRI:ヘルニアの大きさ、神経の圧迫具合を詳しく見ます。重要な検査ですCT:骨の状態を立体的に調べます。手術を検討する場合に行います。

Step 3:あなたに合った治療プランをご提案

検査結果をもとに、ヘルニアの大きさ・場所・症状の強さに合わせて、より適切な治療法をご相談しながら決めていきます。お仕事や生活スタイルも考慮します。

どうやって治すの?

「すぐに手術」ではありません。まずはお薬やリハビリから始めます。約80〜85%の方は手術を行わずに症状の改善が見込まれます。

保存療法(まずはここから)

お薬:痛みを抑える消炎鎮痛薬、神経の痛みを和らげる薬(プレガバリンなど)、筋肉の緊張をほぐす薬など。

リハビリ:首まわりの筋肉を鍛えるストレッチや体操。正しい姿勢の指導も行います。

頸椎カラー(首の装具):首を安静に保ち、炎症を抑えます。通常は2〜4週間の短期使用です。

ブロック注射:痛みの原因箇所に直接お薬を注射し、強い痛みを速やかに和らげます。

前方除圧固定術 ACDF(確立された手術法)

3ヶ月程度の保存療法で十分な改善が得られない場合に検討します。首の前側(のどの横)から3〜4cmの小さな切開で行います。傷んだクッション(椎間板)を取り除き、飛び出したヘルニアを除去して神経の圧迫を解放します。椎間板を取り除いた部分には、人工の骨やケージ(支え)を入れて固定します。のどの横から行うので、背中の筋肉を傷つけず、出血も少ないのが特徴です。

図解|前方からの手術アプローチ(首の断面図・上から見た図)

ACDF手術:首の前側から椎間板を取り除いて固定する
首の前側(のどの横)から進入するため、背中の筋肉を傷つけません。直接ヘルニアを取り除いて神経を解放する、確立された手術法です。

人工椎間板置換術(首の動きを保ちたい場合)

傷んだ椎間板を取り除いた後に、人工のクッション(人工椎間板)を入れる手術です。ACDFと同じく首の前から行います。従来のACDFでは骨を固定するため、その部分の首の動きが制限されます。人工椎間板では首の動きを保てるのが特徴です。隣の椎間板への負担も少なく、再手術のリスクが低いとされています。

ヘルニアの場所・大きさ・骨の状態・年齢・お仕事内容などを総合的に判断して、あなたに適切な方法をご提案します。どちらの手術も入院期間は3〜7日程度で、デスクワークなら2〜4週間で復帰される方が多いです。

よくあるご質問

Q 頸椎椎間板ヘルニアは自然に治りますか?
軽度のヘルニアの場合、約80〜85%の方が保存療法(お薬やリハビリ)で改善します。飛び出したヘルニアの一部が、体の免疫細胞によって吸収されて小さくなることもあります。ただし、脊髄を圧迫している場合や筋力低下が進んでいる場合は、手術が必要になることがあります。
Q デスクワークが原因になりますか?
はい、大きな原因の一つです。長時間の前かがみ姿勢は首のクッション(椎間板)に大きな負担をかけます。特にパソコンのモニターが低い位置にある場合や、ノートパソコンを長時間使う場合はリスクが高まります。30分に1回は首のストレッチをすること、モニターの位置を目の高さに合わせることが大切です。
Q 手術しないと治りませんか?
いいえ、多くの方は手術なしで改善します。まずはお薬やリハビリで3ヶ月程度治療します。手術を検討するのは、保存療法で改善しない場合、手の力が入りにくくなっている場合、脊髄が圧迫されて歩行に支障が出ている場合などです。
Q 手術後はどのくらいで仕事に復帰できますか?
手術の内容やお仕事の種類によりますが、デスクワークなら2〜4週間、身体を使う仕事なら2〜3ヶ月が目安です。入院期間は3〜7日程度で、退院後は通院しながら徐々に活動量を増やしていきます。
Q 腰椎ヘルニアとはどう違いますか?
場所と影響範囲が異なります。腰椎ヘルニアは腰から足にかけての症状ですが、頸椎ヘルニアは首から腕・手にかけての症状です。頸椎は脊髄が通っているため、重症化すると歩行障害など全身に影響が出ることがあります。腰には脊髄はなく、馬尾(ばび)という細い神経の束があります。
Q しびれはどの指に出ますか?
ヘルニアの場所によって異なります。親指側ならC5/C6(第5-6頸椎の間)、中指ならC6/C7、小指側ならC7/T1の間が原因と考えられます。どの指がしびれるかを医師に伝えると、診断の大きな手がかりになります。
Q 人工椎間板とは何ですか?
傷んだクッション(椎間板)を取り除いた後に入れる人工のクッションです。チタンやセラミックなどの素材でできています。従来の固定術と違い、首の動きを保てるのが特徴です。国内外で長期的な有効性・安全性のデータが蓄積されています。
Q 予防法はありますか?
正しい姿勢を心がけることが大切です。パソコンのモニターは目の高さに、スマートフォンはできるだけ目の高さで使いましょう。30分に1回は首をゆっくり回すストレッチを行い、首の筋肉を鍛える軽い運動(等尺性運動など)も効果的です。また、枕の高さを適切に保つことも重要です。

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「年のせいだから仕方ない」とあきらめる必要はありません。原因がわかれば、楽になる方法が見つかるかもしれません。当院は全78床が脊椎専門、外来医師全員が脊椎専門医です。まずはお気軽にご相談ください。

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参考文献・エビデンス

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