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cervical-spondylotic-myelopathy

首から肩、腕にかけて痛みが走る・片方の腕がしびれると感じていませんか?

突然の首や腕の痛みに驚いていませんか?実は、この病気は多くの方が手術なしで良くなります

頚椎症性神経根症とは、加齢による頚椎(首の背骨)の変形によって神経の枝(神経根)が圧迫され、首から片側の腕にかけて痛みやしびれが生じる病気です。40〜60代の働き盛りに多く、約80%の方が保存療法(薬物療法・頚椎カラー・ブロック注射)で手術をせずに改善します。保存療法で改善しない場合や筋力低下が進行する場合は、前方除圧固定術や後方椎間孔拡大術などの手術を検討します。当院では、脊椎専門医が正確な診断と段階的な治療を行っています。

こんなお悩みありませんか?

一つでも当てはまったら、このページが役に立ちます。

  • 片方の腕に、ズキズキした痛みやピリピリしたしびれがある。
  • 首を横に傾けたり、上を向いたりすると腕に痛みが走る
  • 肩甲骨のあたりが痛い。
  • 特定の指だけ感覚がにぶい。ものを落としやすくなった。
  • 夜、痛みで目が覚めてしまう。寝る姿勢がつらい。

これらの症状は、首の骨の変形による神経の圧迫が原因かもしれません。この病気は多くの方が手術をせずに改善します。まずは「どんな病気なのか」を知ることから始めましょう。

この病気って何?

ひとことで言うと、「首の骨や椎間板の変化によって、神経の枝(神経根)が圧迫される病気」です。

首には7つの骨(頚椎)が積み重なっていて、その中を太い神経の束(脊髄)が通っています。脊髄からは、左右に細い神経(神経根)が何本も出ていて、そこからさらに末梢神経となって腕や手に信号を届けています。

道路に例えると、脊髄は高速道路、そこから神経根が出ていく部分(椎間孔)はインターチェンジ、その先の末梢神経は一般道です。この病気は、インターチェンジの部分で神経が圧迫される病気です。

年齢とともに骨の形が変わったり、クッション(椎間板)が変性・突出したりすると、このインターチェンジ(椎間孔)が狭くなり、そこを通る神経根が押されてしまいます。これが頚椎症性神経根症です。多くは片側の腕に症状が出ますが、複数の神経根が同時に圧迫されることもあります。また、脊髄の圧迫(脊髄症)を合併することもあり、これを脊髄神経根症(myeloradiculopathy)と呼びます。40代から60代の働き盛りの方に多い病気です。

図解|神経根が圧迫されるしくみ(首の骨を上から見た断面図)

神経根が骨の変形やクッションのすり減りで圧迫されるイメージ

「脊髄症」との違い

似た名前の病気に「頚椎症性脊髄症」があります。名前は似ていますが、まったく違う病気です。

神経根症(このページの病気):インターチェンジ(椎間孔)で神経根が押される。主に片方の腕に痛みやしびれが出る。多くは手術なしで良くなる

脊髄症:高速道路そのもの(脊髄)が押される。両手・両足に症状が出て、箸が使いにくい、歩きにくいなどの症状が出る。進行すると手術が必要になることが多い。神経根症のほうが治りやすいという特徴があります。

なぜ起こるの?

神経根が圧迫される原因はさまざまで、複数の変化が重なって起こることが多いです。原因は大きく「やわらかいもの」と「硬いもの」に分けられます。

やわらかいもの(軟性圧迫)

椎間板の膨隆・突出(軟性ヘルニア):骨と骨の間にあるクッション(椎間板)が膨らんだり、一部が飛び出したりして神経根を圧迫します。比較的若い方(30〜50代)に多い原因です。急に発症し、強い痛みで始まることが特徴です。

硬いもの(骨性圧迫)

1. 骨棘(こつきょく)の形成:年齢とともに首の骨にトゲのような出っ張りができ、神経根の通り道を狭めます。50代以降に多い原因です。

2. 鉤椎関節(こついかんせつ)の肥大:頚椎に特有の関節(鉤椎関節=ルシュカ関節)が大きくなり、神経根の通り道である椎間孔を前方から狭めます。鉤椎関節は椎間孔のすぐ前にあるため、ここの変化は神経根症の主要な原因のひとつです。

3. 椎間関節の肥大:骨同士をつなぐ後方の関節(椎間関節)が厚くなり、椎間孔を後方から狭めます

4. 靭帯の肥厚・骨化:椎体の後ろを縦に走る後縦靭帯が骨のように硬くなる(後縦靭帯骨化:OPLL)と、脊柱管の前方から神経を圧迫します。また、脊柱管の後方にある黄色靭帯が厚くなったり骨化したりすることで、後方からも神経の通り道を狭めることがあります。

神経根はどうやって傷むのか?

神経根が障害されるメカニズムは、単純な「押される」だけではありません。研究により、以下の3つのメカニズムが関わることが分かっています。1. 機械的圧迫:骨棘や椎間板が物理的に神経根を押す。2. 炎症:突出した椎間板から放出される炎症物質が神経根を刺激する。3. 血流障害:圧迫により神経根への血液の流れが悪くなり、神経が酸素不足になる。

特に炎症のメカニズムは重要で、保存療法(お薬など)で炎症が治まることで症状が改善する理由のひとつと考えられています。長時間のパソコン作業や、うつむいてスマートフォンを見る姿勢は首に大きな負担をかけます。40代〜60代で首や腕に痛みが出た方は、一度専門医に相談されることをおすすめします。

どんな症状が出るの?

この病気の特徴は、症状が主に左右どちらか片方に出ることです。どの神経根が圧迫されるかによって、症状が出る場所が変わります。

片側の腕の痛み・しびれ

首から肩、腕、手先にかけてズキズキした痛みピリピリしたしびれが出ます。痛みは突然始まることが多く、電気が走るような感覚を訴える方もいます。

肩甲骨の周りの痛み

肩甲骨のあたりに痛みを感じる方が多いです。「五十肩かな?」と思って受診したら、実は首が原因だった、ということもよくあります。

特定の指だけしびれる

押される神経の枝によって、しびれが出る指が決まっています。たとえば親指側なら首の6番目、小指側なら首の8番目の神経というように、どこの神経が押されているかの手がかりになります

首の動きで悪くなる

首を痛い側に傾けたり、上を向いたりすると症状が悪くなります。逆に、腕を頭の上に上げると楽になる(Shoulder Abduction Relief Sign)のもこの病気の特徴です。

図解|押される神経と症状が出る場所

C5からC8の神経根ごとに症状が出る手の部位を示すイラスト
しびれが出る場所で、どの高さの神経が押されているかがわかります。診察の際、「どの指がしびれますか?」と聞かれるのはこのためです。

脊髄症との見分け方

「頚椎症性神経根症」と「頚椎症性脊髄症」は名前が似ていますが、症状の出方も、治療の方針も大きく異なります

図解|脊髄症と神経根症の違い(道路に例えると)

脊髄症は高速道路(脊髄)が圧迫、神経根症はインターチェンジ(椎間孔)で神経根が圧迫される違い
神経根症はインターチェンジ(椎間孔)で神経根が傷む病気。脊髄症は高速道路(脊髄)そのものが傷む病気。神経根症のほうが治りやすいという特徴があります。
比べるポイント 神経根症(この病気) 脊髄症
押される場所 神経の(神経根) 神経の本線(脊髄)
症状の出方 片方の腕だけ 両方の手足
主な症状 腕の痛み・しびれ 手のこわばり、歩きにくさ
日常の困りごと 腕が痛い、首が動かせない 箸が使いにくい、ボタンが留めにくい
自然に良くなる? 多くの方が改善する 進行することが多い
治療の基本 まず保存療法 手術が必要なことが多い
多い年代 40〜60代 50〜70代

神経根症は約80%の方が手術をせずに良くなると言われています。まずは焦らず、適切な治療を続けることが大切です。ただし、脊髄症の症状(両手のこわばりや歩きにくさ)が出ている場合は、早めに専門医を受診してください。

かんたんセルフチェック

上のチェック項目をタップしてみてください

おうちでできる簡易チェック(スパーリングテスト)

病院で行う検査を、簡単にご自宅でも試すことができます。ただし、無理は禁物です。痛みが強いときはやめてください

図解|スパーリングテストの方法

スパーリングテスト:首を痛い側に傾けて軽く上から押す検査
スパーリングテストは、神経の枝が圧迫されているかどうかを調べる検査です。首を傾けて軽く押したときに腕に痛みが出れば、神経根症の可能性があります。これは簡易的なチェックであり、正確な診断には医師の診察が必要です。

病院ではどんな検査をするの?

「何をされるんだろう?」と不安に思われる方も多いと思います。検査の流れを事前に知っておけば安心です。

Step 1:お話を聞かせてください(問診)

「いつから」「どの腕が」「どの指が」つらいかをお聞きします。首を動かしたときの痛みの変化も重要な手がかりになります。パソコン作業の時間やスマートフォンの使い方なども教えてください。

Step 2:手や腕の動きを確認します(神経学的検査)

スパーリングテスト(首を傾けて軽く押す)や、筋力テスト、感覚テストを行います。どの高さの神経が押されているかを特定するための大切な検査です。痛みがある場合は遠慮なくお伝えください。

Step 3:画像で確認します(レントゲン・MRI)

レントゲン:骨のトゲや椎間板の隙間を確認します。MRI:神経がどこで、どのくらい押されているかを詳しく調べます。必要に応じてCT検査を追加することもあります。

Step 4:治療プランをご一緒に考えます

検査結果をもとに、あなたに合った治療法をご提案します。多くの場合はまず保存療法(手術以外の方法)から始めます。治療の見通しや期間もわかりやすくご説明します。

どうやって治すの?

神経根症は約80%の方が保存療法で改善すると報告されています。焦らず、段階的に治療を進めていきましょう。

保存療法(まずはここから:約80%の方がここで改善)

お薬:痛みを抑える薬(消炎鎮痛薬)、神経の痛みを和らげる薬(プレガバリンなど)を使います。強い痛みには短期間だけステロイドを使うこともあります。

頚椎カラー(首の装具):首を安定させて、神経への刺激を減らします。仕事中に着けることもでき、痛みが強い時期に特に効果的です。

ブロック注射:痛みの原因となっている神経の近くに直接薬を注射します。「痛みの悪循環」を断ち切る効果があります。痛みが強くて日常生活が困難な方に特に有効です。

リハビリ:首まわりの筋肉を鍛える体操や、姿勢の指導を行います。症状が落ち着いてきたら、再発を防ぐためにも大切です。

通常2〜3ヶ月で症状が改善してくる方がほとんどです。この病気は待つことで良くなることが多いのです。焦らず、医師と相談しながら治療を続けましょう。

手術による治療(保存療法で改善しない場合)

保存療法を十分に行っても改善しない方や、筋力の低下が進行している方には、手術を検討します。手術には主に2つの方法があります。

図解|2つの手術方法(首の断面図)

前方除圧固定術

前方除圧固定術:のどの横から小さな傷で手術
  • 原因を直接取り除ける
  • 骨のトゲやヘルニアを除去
  • 人工骨で隙間を広げて固定

後方椎間孔拡大術

後方椎間孔拡大術:首の後ろから神経の通り道を広げる手術
  • 神経の通り道を広げる
  • 骨を固定しないので動きが残る
  • 内視鏡で傷が小さい
前方除圧固定術はのどの横から原因を直接取り除く方法。後方椎間孔拡大術は首の後ろから神経の通り道を広げる方法です。どちらが適しているかは、圧迫の場所や状態によって異なります。

よくあるご質問

Q この病気は自然に治りますか?
はい、多くの方が自然経過と保存療法で改善します。お薬や頚椎カラーなどで神経への刺激を減らしながら過ごすことで、数週間から数ヶ月で症状が和らいでいく方がほとんどです。約80%の方は手術をせずに良くなっています。
Q 頚椎症性脊髄症とはどう違いますか?
神経根症は神経の「枝(神経根)」が圧迫される病気で、主に片側の腕に症状が出ます。脊髄症は神経の「本線(脊髄)」が圧迫される病気で、両手・両足に症状が出ます。両方が同時に起こる脊髄神経根症もあります。神経根症のほうが保存療法で改善しやすいのが大きな違いです。
Q 仕事を休む必要がありますか?
痛みが非常に強い時期は安静にしたほうが良いですが、多くの方はお薬や頚椎カラーで症状を和らげながらお仕事を続けられています。デスクワークの場合は、こまめに休憩を取り、首の位置に気をつけることが大切です。重いものを持つ仕事の方は、主治医とご相談ください。
Q どんな人がなりやすいですか?
40代から60代の働き盛りの方に多い病気です。長時間のデスクワーク、上を向く作業が多い職業(塗装業、電気工事など)、スマートフォンの長時間使用なども関連があると言われています。男性にやや多い傾向があります。
Q 手術が必要になるのはどんなときですか?
2〜3ヶ月の保存療法で改善しない場合や、腕の筋力が明らかに低下してきている場合に手術を検討します。また、日常生活に大きな支障がある強い痛みが続く場合も、手術のほうが早く楽になれることがあります。
Q 手術をした場合、入院期間はどのくらいですか?
手術の内容によりますが、1〜2週間程度の入院が一般的です。内視鏡を使った手術の場合はさらに短くなることもあります。退院後は首の安静に気をつけながら、徐々に日常生活に戻っていただきます。
Q 再発することはありますか?
同じ場所の再発は比較的少ないですが、首の別の場所に同様の症状が出ることはあります。日頃から良い姿勢を心がけ、首まわりの筋肉を鍛えることが再発予防に効果的です。長時間同じ姿勢を続けないことも大切です。
Q 整体やマッサージは効きますか?
首を強く揉んだり、ひねったりする施術はかえって悪化させる可能性があります。特に、ボキボキと音を鳴らすような施術は避けてください。まずは整形外科や脊椎専門医で正確な診断を受けてから、医師が認めた範囲でのリハビリを受けることをおすすめします。

まずはご相談ください

「年のせいだから仕方ない」とあきらめる必要はありません。原因がわかれば、楽になる方法が見つかるかもしれません。当院は全78床が脊椎専門、外来医師全員が脊椎専門医です。まずはお気軽にご相談ください。

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